2020年09月02日公開
2020年09月02日更新
ヒートテックの暖さの秘密とは?仕組みから注意まで徹底解説!
ヒートテックは、今では冬に欠かせないアイテムとなりましたが、これが何故暖かいのかはあまり知られていません。素材には、特別な原理や仕組みがあり、注目するポイントは汗と熱の原理にあるようです。その点を理解して、ヒートテックを上手く活用出来るよう詳説します。

目次
ヒートテックとは
冬になると、自然に手が伸びるヒートテックですが、薄くて軽いのに暖かい仕組みはあまり知られていないようです。そこで、ヒートテックの仕組みや原理をもう一度掘り下げてみます。リーズナブルで冬の寒さを凌げるアイテムについて詳説しましょう。
ヒートテックとは、リーズナブルな普段着を提供しているユニクロと、日本におけるトップクラスの繊維会社東レとの共同開発された、保湿性があるインナーの事です。
体から出る汗などの水分を熱に変えて服の繊維の間に空気の層を作り、そこで熱を溜めるという仕組みで保温性の高い衣類になっている商標名の事です。つまり、ヒートテックは素材の名前という事になるようです。
ヒートテックの暖かさの仕組み
ヒートテックの暖かさの仕組みは、先ほども記しましたが、体から出る水分を熱に変える繊維を持つ素材の事で、羊毛繊維などは、昔から暖かい事は知られていましたが、ヒートテックの仕組みも同じ原理です。
体から出る汗などの水分が、繊維に吸着してエネルギーに変換されますが、その時のエネルギーが熱エネルギーや運動エネルギーです。ただ、延々に熱に変換するのではなく、繊維が吸収仕切れなくなると発熱は起きません。
ヒートテックの仕組み【素材】
ヒートテックと言っても、ただの繊維ではなく、その中には考えに考えられた仕組みがあります。素材に使われている繊維は、吸湿して発熱させるレーヨンと、保湿性を高めるアクリル、ストレッチ性のあるポリウレタン、水分が即効に乾燥するポリエステルの4種類です。
この4種類の繊維が上手く組み合わさり、薄くて暖かいヒートテックが完成する仕組みです。開発は2003年ですが、その後試行錯誤を繰り返しドンドン進化しています。上記の素材は、現在のヒートテックですが、当初はレーヨンは含まれていません。
レーヨンは耐久性に乏しく、吸水が飽和すると発熱がストップするという難点があり、使用するには工夫が必要でした。保温性の高いアクリル繊維と紡ぐ事で、相乗効果を生み、マイクロアクリルとマイクロレーヨンで1本の繊維に開発されました。
素材が持つ特性
ヒートテックの仕組みは、汗などの水分が水蒸気に変化する時に衣服の繊維に付着して発熱し、それが肌に伝わる時に暖かさを感じますが、その繊維の吸水力が多いほど暖かさは維持されます。
ただ、その時のヒートテックの素材が持つ特性として、一番注意しなくてはいけないのがレーヨンです。レーヨンは吸水性が高いのですが限界があり、飽和状態になった時に気化熱が発生して体を冷やす原因を作ります。
速乾性が低いと言ってもいいでしょう。従って、体は段々冷えていき、命の危険もあると言われます。このように、吸水力の高い繊維は速乾性が低いと考えておくべきです。
ヒートテックの原理と汗の関係
これまでで仕組みや原理は、お分かり頂けたでしょうか。汗との関係を理解し、ヒートテックを着る場所や時期を踏まえないと、暖かさを求めたのに寒く感じるという事も起きかねませんので注意が必要です。
ヒートテックは汗をかくと、衣服の繊維に吸着され、そこで熱を発して暖かさを感じます。これが基本的な原理ですが、何もせずじっとしていても人は汗をかいています。ただ、登山などでヒートテックを着て登ると、最初は暖かく快適ですが、だんだん寒くなってきます。
これは、汗の量が限界を超えているという事なのです。従って、激しい運動などで、汗を大量にかく時には、ヒートテックは向いていません。この汗との関連性や原理、仕組みをしっかりと理解しておきましょう。
ヒートテックの仕組み【着用時の注意点】
ヒートテックの仕組みを理解すると、着用するシチュエーションが見えてきます。ヒートテックの着用にも、注意点がありますから、しっかりと把握しておきたいものです。登山やMRI、乾燥肌やアレルギーの方も注意が必要ですので、詳説していきましょう。
注意①登山時
ヒートテックを登山で使用する時の注意点は、汗のかき方すが、なかなか調整の難しいのが汗です。汗を出したり止めたりと自由に出来るわけもなく、現実的ではありません。登山はゆっくり登っていても汗はかきます。
ヒートテックを着用していると尚更暖かさは感じるはずです。暖かさが増すと発汗量も増え、急激にヒートテックが効果を発揮しますが、それも長くは続かず、風が吹くと寒く感じ始めます。
ウェアを1枚羽織ると、風は防げてもさらに汗が出るため、ヒートテックはベタッと濡れているでしょうから、このような状態ではせっかくの登山も楽しめません。
つまり、ヒートテックは、登山には向いていないという事になります。軽くて薄く暖かいという事で、登山には向いていそうですが、ヒートテックを選ぶと、汗をかいても乾きにくく後悔する事になりますので、登山用のインナーを着用する事をおすすめします。
注意②MRI検査時
ヒートテックとMRI検査とは、全く関連性が無いように感じますが、実は大ありです。MRI検査では、RFパルスというものによって、体温が上昇する可能性が高いため、汗をかく事もあります。
そこで、あの狭い空間の中で動けずに検査をしているうちに体温が上がり汗が出ると、ヒートテックが熱を呼び、火傷を起こすこともあります。従って、MRI検査の前に、ヒートテックは脱ぐ必要があります。
通常は、検査着に着替えますが、病院によってはそのまま検査台に乗る事もありますので、注意しましょう。検査の前に、説明書が渡されますので、そこにも注意事項として記載されています。
注意③乾燥肌・アレルギー
ヒートテックを着ると、肌が痒くなるとか、乾燥してきた気がするという声を希に聞きます。これは、気がするのではなく、事実乾燥しているのです。ヒートテックの仕組みは上記にもありますが、体の水分を熱に変えて暖かさを維持する仕組みです。
従って、乾燥肌の方などがヒートテックを着ると、より水分を吸収して乾燥しやすくなります。また、ヒートテックに使用されている繊維が化学繊維のため、アレルギーを持っている方にも相性が悪いようです。
ヒートテックの仕組み【静電気】
ヒートテックを着用すると静電気が起こりやすいという方も多いですが、果たしてヒートテックは静電気を起こさせやすいものなのでしょうか。これは、ヒートテック自体が静電気を起こすのではなく、ヒートテックとの組み合わせる衣服にあるようです。
衣服と静電気の関係
静電気というものは、プラスとマイナスの電気のバランスが崩れて、発生します。プラス側、マイナス側に電気が蓄積する事を帯電と言い、プラスマイナスのお互いが近づいた時に静電気が起こります。
物と物がこすれ合って帯電するのですが、衣服でも繊維同士がこすれて帯電します。その状態で、金属などのものに触れるとパチッと電気が走ります。
冬場に衣類を脱ごうとすると起こります。これは体と衣類、また衣類の繊維同士がこすれて静電気が発生します。繊維の種類でも静電気の起き方は違い、プラスとマイナスの静電気の配列で異なります。
人はプラスの静電気を帯電しやすく、繊維ではウールが最も帯電しやすい繊維です。ウールの次がナイロン、レーヨン、シルク、皮、木綿、麻、ポリエステル、アクリル、塩化ビニールという順に、マイナスの静電気を帯電します。
この帯電列で、近いもの同士は静電気が発生しにくいと言われます。従って、ヒートテックの素材でレーヨンは比較的プラスの静電気が帯電しやすく、ポリエステルやアクリルはマイナスに近いですから、ヒートテックが静電気を起こしやすいと思われがちです。
ただ、ヒートテックには、静電気防止加工が施されていますので、ヒートテック自体は静電気を起こしにくくなっています。
静電気の防止方法
ヒートテックと他の衣服の組み合わせで、静電気を起こすという原理です。例えばアクリルやポリエステルの素材の衣服をヒートテックの上に着ると静電気は発生しにくいです。ヒートテックを着て静電気を発生させたくないなら、他の衣服の素材を考えましょう。
また、素材の組み合わせで静電気を防ぐ他、洗濯の際に柔軟剤を利用すると静電気は起きにくくなります。乾燥機を使用する時に、柔軟剤を染みこませたタオルを乾かして、一緒に乾燥機に入れるのも効果的です。
乾燥機が無いお宅では、柔軟剤を100倍程度水で薄めて、こすれそうな衣服の箇所に、遠くからスプレーすると、静電気が防げます。
ヒートテックの効果的な着用方法
ヒートテックの暖かい重ね着というのはあるのでしょうか。ユニクロでは、ヒートテックの他にも裏起毛の「極暖」という通常の1.5倍暖かいとされるものや、そのまた1.5倍の「超極暖」ヒートテックは厚手の生地だけど重くない究極の暖かさを誇ります。
ヒートテックの暖かい重ね着の仕方
極暖や超極暖で、重ね着をする事もないようですが、かなり寒い地域や寒がりの方以外なら、通常のヒートテックに重ね着をする方が、調整しやすいでしょう。またヒートテックを2枚重ね着すると、暖かさが2倍になるのでしょうか。
ユニクロが検証した結果、ワンサイズ大きいヒートテックを重ね着するのが効果的なようです。重ね着したワンサイズ大きめのヒートテックは発熱はせず、保温のみの役割ですので、他の衣類でも同じ効果が見込めます。ただ、素材の相性には注意しましょう。

ヒートテックについて動画を参考に
ヒートテックの正式な着方の動画になります。まずヒートテックは肌に密着した水分を熱に変える仕組みですから、ジャストサイズを着る事を心がけます。次に、メンズ用とレディース用を使い分ける事です。
何故なら二つは機能が異なるからで、メンズ用は速乾性が高く、レディース用は保温を重視しています。そして寿命は袖口などが伸びてきたと感じたら寿命です。伸びると体とヒートテックの間にすき間ができ、暖かさを感じにくくなります。
ヒートテックの仕組みを知って上手に着用しよう!
ヒートテックは、冬には欠かせないアイテムですが、重ね着の仕方など、工夫をすればより暖かさを感じる事をご理解頂けたでしょう。ヒートテックの原理や仕組みを知れば、寒い冬も心配なく過ごせます。他の衣類との組み合わせなどで、楽しく上手に着こなしましょう。
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