古代サメ「ラブカ」ってどんな魚?幻の深海魚の生態を詳しく解説!
水深500m~1,000mの海底に生息する古代サメ「ラブカ」は、原始的な特徴を持っていることから生きている化石と呼ばれています。ここでは生きている化石と呼ばれる、幻の深海魚「ラブカ」の生態や特徴を詳しく解説していくので、興味のある方はぜひご覧ください。
ラブカとはどんな生き物?
ラブカはカクラザメ目ラブカ科に属するサメの1種で、その祖先は8,000万年前もの昔から存在していたと言われています。これまで世界で1属1種とされてきましたが、2009年に南アフリカの近海で新たな品種が発見され、ラブカ科の現生種は2種類が確認されています。
細長い円筒型の体をしていることから「ウナギザメ」と呼ばれたり、原始的なサメの特徴があることから「生きている化石」と呼ばれたりしています。
通常は水深500m~1,000mの海底で生活をしていますが、餌を求めて浅海まで上がってくることがあります。
TOKIOが捕獲に成功した伝説の深海魚「ラブカ」
底曵き網や底延縄でまれに混獲されることがありますが、ラブカが生きた状態で捕獲されるのは非常に難しいと言われています。
それはラブカに限らず深海に生息するサメ全般に言えることですが、水圧のない環境では肝臓の機能が損なわれてしまうことに原因があるとされています。そのため、もし生きた状態で捕獲されても長期飼育できないのが現状です。
【再び】『鉄腕DASH!!』城島茂&桝太一アナが“学会レベル”の超貴重生物を発見https://t.co/fhIjJeFUWm
— ライブドアニュース (@livedoornews) March 15, 2019
幻の古代ザメ「ラブカ」のほか、東京湾内では初となる「コツノキンセンモドキ」までも発見する。17日放送。 pic.twitter.com/Vsc8mEKU77
しかし、過去にはアイドルグループTOKIOのメンバーが人気バラエティー番組「ザ!鉄腕!DASHI!!」の収録中にラブカの捕獲に成功しています。
漁師の方でもめったに見ることができない伝説の深海魚ラブカの捕獲に、TOKIOのメンバーが成功したことは大きな話題を集めました。
今回はTOKIOのメンバーが捕獲に成功したことで知られる、伝説の深海魚「ラブカ」の生態や特徴を詳しく解説していくので、興味のある方はどうぞご覧ください。
シンゴジラのモデルと言われている
伝説の深海魚と呼ばれるラブカは、2016年に公開された映画「シンゴジラ」の第2形態のモデルになったサメだと言われています。
並べた写真をみてみると、ラブカの最大の特徴であるヒダ状のエラとシンゴジラの特徴的なエラがよく似ています。また、シンゴジラにはラブカのような歯はないものの、目や口など顔の表情も似ているように見えます。
現在でもラブカについての研究が行われている
「ラブカ研究プロジェクト」では東海大学海洋科学博物館とアクアマリンふくしまが共同で、ラブカの受精卵の人工保育に取り組むなどの研究が行われています。この研究によりまだわかっていない、ラブカの生態が解明される時がくるかもしれません。
ラブカの生態とは
ここまでは、ラブカがどんな生き物なのかについて解説してきました。ここからは、ラブカの生息地域や餌・繁殖方法などの生態についてチェックしていきましょう。
深海に生息する古代サメ
古代サメ・ラブカは、水深500m~1,000mの海底に生息しており、最大全長はオスで170cm・メスになると200cmにも達します。
体型はうなぎのように細長い円筒型で、頭部は幅広で平たくなっています。比較的大きい眼は楕円形をしており、口は体前端に大きく開くのが特徴です。
ラブカの生息地域について
準絶滅危惧に指定さているラブカですがその生息地域は広く、ノルウェーやアイルランドなどの北欧・フランスやモロッコ・ブラジルなどの大西洋・太平洋の全域で存在が確認されており、日本では相模湾や駿河湾での目撃情報が比較的多くなっています。
ラブカの餌は何?
では古代サメ・ラブカは何を餌にしているのでしょうか?ここでは、ラブカの好む餌をチェックしていきましょう。ラブカは、イカやタコなどの頭足類を主食としています。
動きが俊敏ではないラブカが、なぜ逃げ足の早いイカやタコを捕まえられるのか長年謎でしたが、傷ついて動きが鈍くなっている獲物を狙い、鋭い無数の歯でしっかり獲物を捕らえ、飲み込むようにして食べているそうです。
ときには、1m以上もある大きな獲物を丸のみしていることもあり、イカやタコ以外の生き物でも食べることはあります。
ラブカの繁殖方法
サメの妊娠期間は種類によりことなりますが、最大全長が6mにもなり凶暴なサメとして知られるホホジロザメなど多くのサメの妊娠期間は11~18ヶ月です。
中には、体は大きいがおとなしい性格のウバザメのように3年という長い妊娠期間のサメもいて、ラブカの妊娠期間はウバザメより長い3年半となっており、1回の妊娠で2~15尾の子供を産みます。
一般的に多くの魚類は卵を産んから孵化させて育てる「卵生」で繁殖しますが、ラブカは「卵胎生」で繁殖します。卵胎生とは、卵を産むのではなく、母親が胎内で卵を孵化させて子供を産む繁殖方法です。
胎内にいる子供は、母サメの卵巣から産卵される未熟児の卵を食べて成長していきます。サメの中では、シロワニやオナガザメがラブカと同じ卵胎生で繁殖します。
ラブカの特徴
ラブカの生息地域や餌・繁殖方法などの生態をご紹介したあとは、ラブカの特徴についてチェックしていきましょう。

ラブカの独特な歯
【深海鮫ラブカまとめ】
— Ryuさん@UONTED管理人 (@Ryusan_fish) January 16, 2020
・3億7千年前の古代ザメにそっくりな「生きた化石」
・蒲田に上陸したシン・ゴジラ第2形態のモデル
・一般的なサメはエラが5列なのに対して古代鮫ラブカは6列
・三叉の鋭い歯。
でも、顎が上と下でくっついていて動かしにくいから獲物を引っ掛けるのに利用している。 pic.twitter.com/ulxdWlCn5P
サメの歯は何列にも鋭い歯が並んで生えているものが多く、実際に使われている歯列のすぐ後ろには新しい歯列が用意されています。
獲物を捕獲するなどしてそのうちの1本でも歯が欠けると、歯列ごと新しいものに生え変わります。そのため、1匹のサメが生涯で使う歯の数は多いものでは数千本にもなります。
ラブカは大きく3つまたに割れた鋭い歯を300本以上持っているのが特徴で、1度獲物に食らいつくとなかなか離さないという性質をもっています。そのため、かなり大きな獲物でも飲み込む事ができます。
ラブカの寿命は?
通常、魚の年齢は鱗や耳石・脊椎骨・歯などから憶測することができます。魚の平均寿命は種類によってさまざまですが、体が大きな種類ほど寿命が長い傾向にあります。
日本でもよく目にするカタクチイワシの平均寿命は2年~3年、マイワシやマアジで5年~6年、体の大きなマグロになると10年~15年だと言われています。
耳石を持たず鱗や歯が定期的に生まれ変わってしまうサメはの年齢を推定するのは困難ですが、その平均寿命は20年~30年だと考えられています。
世界最高齢のニシオンデンザメのように寿命が400年以上で、512歳に達するものもいますが、古代サメ・ラブカの平均寿命は、20年~30年であると推測されています。
普通のサメよりも多いエラ
サメ類は硬骨魚類のような鰓蓋がなく、鰓孔が外に見えています。サメに限らず多くの魚の鰓が5つなのに対し、ラブカの鰓は普通のサメより多い6つになっています。
なぜラブカの鰓が普通のサメより多くついているのかは定かになっていませんが、ひだ状の大きな鰓が6つあるおかげで「深海でも効率よく酸素を吸収できる」という説があります。
ラブカは美味しい?
未処理のもはアンモニア臭が強いと言われるサメ肉ですが、日本・インド・スリランカ・アフリカの一部やメキシコなどでは、日常的に消費されています。
特にアジアでは人気が高く、乾燥・燻製・塩漬けにされることが多くなっており、日本では、ソーセージ・すり身・蒲鉾・魚肉団子やその他の製品に加工されて食べられています。
以前はメジロザメ目やネズミザメ目などの大型の種類は、切り身として全国的に食べられていましたが、現在は衰退傾向にあります。
そのグロテスクな見た目からラブカは食べられないと思っている方も多いと思いますが、実は食べることができます。
未処理のサメ肉はアンモニア臭が強く、くせがあるとされていますがラブカは臭みもなくあっさりとした味わいだそうです。
キレイな白身で刺身として食べることができますが、切り身を天ぷらにしたりとさまざまな調理方法があるので、もし手に入る機会があればチャレンジしてみましょう。
ラブカはどこに行けば見られる?
深海の古代サメ、ラブカを搬入‼️
— 和歌山・串本海中公園センター (@KushimotoMP) January 16, 2020
体長1.2mほどのオスで、勝浦沖・水深550mの深海から引き上げられました。水族館内の砂場水槽にて展示中です。
残念ながら長くはもたないと思います。#ラブカ pic.twitter.com/SMDpT7yHQ9
捕獲が難しいと言われるラブカですが、どこに行けば見ることができるのでしょうか?
2020年1月16日に、和歌山県串本町有田にある串本海中公園の水族館に生きた状態のラブカが持ち込まれ展示されていましたが、翌日1月17日の午前中には衰弱死してしまいました。
その後、個体は和歌山県立自然博物館に寄贈され、2020年2月24日標本が公開されていたそうです。
現在、生きた状態のラブカを見ることはできませんが、沼津深海水族館などでは展示されることがあるので、生きた状態のラブカをみたい方は、水族館の情報をこまめにチェックしておきましょう。
また、ラブカの生態調査を行っている「東海大学海洋科学博物館」ではラブカのパネル展示を見ることができるので、興味のある方は足を運んでみてください。
貴重な伝説の深海魚ラブカを見に行こう
伝説の古代サメ・ラブカの生息地域や繁殖方法などと、生態や独特な歯、寿命などの特徴を詳しく解説しました。ラブカは、捕獲や飼育が非常に難しく捕まえてもすぐに死んでしまいます。
そのため、まだまだ分からないことの多い未知の深海魚です。ラブカを実際に目撃できる可能性はかなり低いですが、水族館の情報をこまめにチェックして見られる機会を狙ってみましょう。
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