オイルストーン(油砥石)とは?基礎知識から使い方まで徹底解説!
包丁やナイフのメンテナンスに欠かせない砥石には水砥石の他に、油砥石(オイルストーン)があります。オイルストーンは家庭でも取り扱いやすく、刃物のセルフケアにおすすめです。オイルストーンの使い方を身につけて、大切な刃物をしっかりメンテナンスしましょう。
オイルストーン(油砥石)とは
海外でよく使われている「オイルストーン(油砥石)」ですが、日本の家庭ではあまり馴染みがない道具かもしれません。
一般的に日本で知られている砥石と言えば水砥石でしょう。オイルストーンは「油砥石」という通り、水の代わりにオイルを使います。
オイルストーンは、油分を含む石英の一種から作られた砥石です。そのため馴染みやすいオイルを潤滑油として刃物を研ぎます。硬度が高く、砥石の減りが少ないのも特徴です。
天然の原料を使ったオイルストーンは生産数が少なく高価になるため、一般的に使われているのは人工のオイルーストーンです。
水砥石とはどう違う?
日本では水を使用する「水砥石」が多く使われています。砂岩を使って砥石を製造していたことと、水資源が豊富だったことから日本では水砥石が普及しました。
一方アメリカでは、前述のアーカンサス・ストーンなどの油分を含む石を原料として砥石を生産していたことからオイルストーンがメジャーです。
刃物を研ぐ上での水砥石とオイルストーンの使い方に大きく違いはありません。
石自体が柔らかく減りが早い水砥石に対して、オイルストーンは硬度が高く、減りが少ないことから金属を平面に削る作業などにも多く使われています。
さらにオイルストーンは、油を潤滑剤としているので工業機器の研磨などにも利用されています。

オイルストーンの種類
オイルストーンを使ってみようと店頭やネットで探してみると、いくつかの選択肢があり迷ってしまうのではないでしょうか。
オイルストーンの種類は、天然と人工の素材、用途別に対応された形状、さらに番手という数字により細かく分類されています。
その中から自分に必要な要素を満たしたオイルストーンをどのように選べばよいのか、詳しく説明していきます。
種類①人工と天然
オイルストーンには、大きく分けて天然と人工の2種類の原料が存在します。
天然オイルストーンは原料の採掘量が減ってきているため、サイズが大きいものは特に入手しにくく価格も高価です。そのため使う人や場面は限られています。
人工オイルストーンは、人造の素材を使用しておりバリエーションが豊富で価格も手頃です。ホームセンターなどで販売されている多くはこの人工オイルストーンです。
一般的に家庭で使用するのにおすすめなのは人工のオイルストーンです。
天然オイルストーン
天然のオイルストーンの代表としては「アーカンサス・ストーン(別名アルカン)」があります。
アーカンサス・ストーンはアメリカの南部アーカンソー州から、オクラホマ州にまたがるウォシタ山地から採掘される「ノバキュライト」という鉱物(石英)を原料に作られています。
現在はノバキュライトの枯渇が危惧され、手に入りづらい非常に高価な製品になっています。
人工オイルストーン
人工オイルストーンは、粒の大きさやサイズ、形状まで様々な種類があり、選びやすいのが特徴です。品質も安定しているので価格が手頃なのが魅力です。
身近なホームセンターなどで販売され、一般的に日本で普及しているオイルストーンは人工のタイプです。工業製品や工業機器の研磨などにも幅広く使用されています。
種類②形状の違い
オイルストーンは、手に乗るほどの小さなサイズから、ブロック型の大きなものまで用途により様々な形のものがあります。
スティックタイプでは断面が四角形、三角形、円形とバリエーションが豊富です。これはオイルストーン刃物を研ぐこと以外にも、金属パーツの仕上げ加工などに使われるためです。
包丁を研ぐなら、ブロックタイプが安定感があり安心です。小さなナイフなど刃物側を固定して研ぎたい時は持ちやすいコンパクトなサイズが使いやすいでしょう。
種類③番手の違い
「番手」は、オイルストーンの粒子の細かさ別に分けられた数字です。研ぐ段階により使い分けます。数が多くなるほど粒子が細かくなっていきます。
80~400番台を「荒砥石」といいます。中でも80番台を「粗目」、130~180番台は「中目」、300番台を「細目」と分類しています。
荒砥石では、刃こぼれした刃物を研ぐ前に削って整える作業に使います。
700~1000番台のものは「中砥石」です。包丁の切れ味復活のための研ぎ直しで使われるのは、主にこの中砥石です。
荒砥石で整えた刃物の仕上げとしても使用します。家庭用としてはまずはこの中砥石を購入しましょう。
3000~8000番台は「仕上げ砥石」です。プロの料理人が使用しているのがこの番台です。刃物をより高精度に整えたい時に使用します。
オイルストーンの上手な使い方
オイルストーンの使い方にはいくつかの注意しておくべきポイントがあります。
包丁やナイフを研ぐ時に気をつけたいのは、刃の角度とオイルストーンに当てる部分の角度を合わせることです。刃先をじっくり見て、とぎが必要な箇所を見極めてください。
また、オイルストーンを置く場所にも気を付けましょう。必ず水平な場所にオイルストーンを置く必要があります。
傾いた場所で研ぐと、刃物のバランスが崩れた状態になってしまい刃物を台無しにしてしまいます。
使い方①それぞれの番手の使い分け
研ぎたい刃物の状態によってオイルストーンの番手を選びます。通常切れ味が悪くなった包丁など、通常の手入れでは、500番台からを使用すればよいでしょう。
刃こぼれが見られるようであれば、200番台以下から研ぎ始めて、400~500番台で中研ぎし、800~1000番台で仕上げるようにします。
使い方②使用する油
包丁やナイフなどの刃物を、オイルストーンを使って研磨するときに必要なのが、「ホーニングオイル」です。ホーニングオイルは潤滑と目詰まりを防ぐために使用します。
ホーニングオイルは、専用の商品を使用しましょう。通常オイルストーンには鉱物油を使うことになっています。
ミシンオイルなど、低粘度のオイルを代用する場合もありますが、食用油は避けた方がよいでしょう。
使い方③研ぎ方
始めに、オイルストーンをしっかりと固定します。
固定枠やケースがある場合は必ず使用します。家庭では、シリコン素材の滑り止めなどを敷いた上にオイルストーンを置くとよいでしょう。
乾いたオイルストーンにホーニングオイルを塗ります。しっかりとオイルが染み込み、染み込まないオイルが表面に浮き上がっている状態になったら研ぎ始められます。
刃物の刃の角度を確認し同じ角度で刃を動かしていきます。刃先から刃元側に向かって研いでいきます。短いナイフなどは1度のストロークで全体を研ぎます。
片刃の場合は裏面を先に研ぎます。両刃のものは両面を同じ回数研ぐようにします。研ぐ時は少しずつ、刃を確認しながら進めましょう。
ホーニングオイルが足りなくなったら途中で足します。
使い方④砥石を動かす研ぎ方
小さなナイフや、研ぎ具合を細かく確認しながら研ぎたい場合は、刃物側を固定し、オイルストーンを動かして研ぐという方法でもよいでしょう。
きれいに研ぎあげられるのでれば、自分の扱いやすい研ぎ方で行って問題ありません。
オイルストーンの手入れ方法
刃物を研いでいくにつれて、オイルストーン自体も削れて形がいびつになってきます。オイルストーンがいびつだと、刃物を正確に研ぎあげることができません。
オイルストーンの表面が荒れてきた時は、耐水性サンドペーパーを使用して表面を平らに整えておきましょう。できるだけ水平になるように整えるのがポイントです。
この作業は「平面出し」といい、オイルストーンの手入れの基本中の基本になっています。
正しい手入れをして長く使おう
オイルストーンは、手入れを怠らなければ長く使うことができるコストパフォーマンスのよい道具です。
使い終わったオイルストーンは必要のない表面のオイルを拭き取っておきます。そして密閉できる袋や容器に入れて保管します。
メンテナンス道具がよければ、道具の故障も少なくいつでも快適に使用することができます。
オイルストーンの平面出しのやり方を動画でチェック
オイルストーンの手入れ、平面出しの方法を動画で詳しく確認してみましょう。ここでは「アーカンサス・ストーン」を「GC砥石」で平面出しする方法を紹介しています。
人工オイルストーンにも応用可能です。説明されている気をつけるべきポイントもしっかり押さえておきましょう。
効率的に平面出しをすることができる方法なので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
オイルストーンを使ってナイフや包丁を研いでみよう
大切な包丁やナイフなどの刃物を長く使い続けるためには日頃の手入れが大切です。
特に切れ味の悪い刃物は、作業がスムーズにできないストレスが増えることはもちろんですが、危険度もアップします。
刃物を研ぐというとハードルが高く感じますが、実際にやってみると思ったよりも簡単に切れ味が復活することに驚くでしょう。
いつでも快適でストレスなく安全に道具を使うために、ぜひオイルストーンを使いこなしてください。
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