巨大すぎて怖い!ウバザメとは?見た目とは違う実は優しい生態をご紹介
巨大で大きな口が特徴のウバザメをご存知ですか?サメというと怖くて危険なイメージがありますが、ウバザメは皆さんが想像するサメと少し違うようです。見た目とは違う穏便な魚で、知れば知るほど惹きつけられるウバザメ、ここでは、そんなウバザメの生態を詳しくご紹介します!

ウバザメってどんなサメ?
ウバザメは、ネズミザメ目ウバザメ科に属するサメで、世界中の海に広くに生息しています。魚類の中で2番目に大きいとされており、その巨大すぎる大きさに誰もが恐怖を覚えるでしょう。
「サメ」と聞くと、映画「ジョーズ」のように凶暴で人を襲う危険なイメージを持っている方が多いでしょう。しかし、このウバザメは大変大人しい性質で、人間にとって危険性の低いサメと言われています。
今回は、そんなウバザメに注目し、特徴や性質、生態について詳しく解説します!
三大巨大ザメの仲間
世界には「三大巨大ザメ」と呼ばれる、超巨大なサメが存在します。それは「ジンベエザメ・ウバザメ・メガマウス」の3種類で、今回ご紹介するウバザメは、ジンベエザメに次いで2番目の大きさになります。
三大巨大ザメの中で最も有名なのが「ジンベエザメ」でしょう。水玉模様と体の側面の筋が特徴で、巨大ながら他の2匹と比べて見た目が可愛らしく、水族館でも人気者です。
「メガマウス」は、その名の通り非常に大きな口を備えたサメで、海の中で絶対に会いたくない風貌をしています。目撃例が極めて少なく、いまだ謎に包まれています。
別名「バスキングシャーク」
ウバザメは別名「バスキングシャーク」とも呼ばれています。バスキングシャーク(Basking shark)の「Bask」とは「日光浴」を表しています。
ウバザメが、餌となるプランクトンをもとめて海面まで上がってきている様子が、まるで日光浴をしているように見えることが由来になっています。
「バカザメ」という名も?
ウバザメは「バスキングシャーク」とは別に、「バカザメ」と呼ばれることもあります。
ウバザメは水面間際で大口をあけてプランクトンを食しますが、その際あまりにゆっくりと食べる為、すぐに人間に捕獲されてしまうことから「バカザメ」と呼ばれるようになったようです。
また、サメはサメでも全然怖くないところから 「バカ」と付けられたという説もあります。どちらにしろ、穏やかで優しい性質からバカ呼ばわりされ、世界一不憫なサメかもしれません。
ウバザメの特徴
ここからはウバザメの他のサメに見られない特徴や、大人しくて優しい性質をご紹介します。ちょっと気持ち悪い見た目に反した、ウバザメの特徴ついて詳しく見ていきましょう。
特徴①大きな体
ウバザメは、魚類の中でジンベエザメに次いで№2の大きさの魚です。その大きさ平均して6~8mもあり、重さは5.2tにものぼります。大きなものでは、平均的なジンベエザメ位の大きさのものもいます。
記録に残っている中ではカナダで捕らえられた、体長12.27m、体重16トンの個体が最大です。近年では、ウバザメの長年の乱獲により、10m以上の個体はほぼ見かけられることはなくなりました。
特徴②大きな口
写真を見ても分かるとおり、ウバザメの最大の特徴は体に負けず劣らずの、大きな口です。口を閉じている時はあまり目立ちませんが、口を開けると体よりも大きく開き、その風貌は恐怖すら感じるでしょう。
ウバザメが大きく口を開けると、その奥には湾曲した太い軟骨の柱が檻のように並んでおり、口から入った海水とともに流れてくるプランクトンを捕えます。 鋭い歯もなく、とっても小さな歯をたくさん持っていますが使うことはありません。
特徴③ゆっくり泳ぐ
ウバザメは、大きな口を開けながら泳ぎ、ゆっくりと回遊しながら長距離移動しています。水面間際でもゆっくりと泳いでいる為、すぐ捕獲され「バカザメ」と呼ばれるほどのんびりとしています。
速度はおよそ時速3.6kmで、最高速度でも時速6.5kmほどです。ある程度泳ぎの得意な方なら、ウバザメに勝つことができるでしょう。
特徴④ジャンプが速い
ウバザメは、大人しい性質のサメですが、その巨体をしばしば海面から空中へジャンプさせることでも知られています。これは仲間とのコミュニケーションをとる社会行動とも言われていますが、のんびりした巨体のウバザメにとってはとても労力のいることでしょう。
しかし最近の研究結果では、ホホジロザメに匹敵するほどの活動力を持っていることが分かっています。とある実験結果によると、ウバザメの海面ジャンプ速度は秒速4.9~5.1mで、これはホホジロザメが獲物を捕食する際の速度に匹敵します。
特段切迫した理由でもない、ウバザメのジャンプ速度が際立っていることが分かるでしょう。
特徴⑤人は襲わない
ウバザメは、その巨体と大きな口のせいで、「怖い」「人を食いそう…」などと言われますが、人を襲うことはなく、至って無害なサメです。
プランクトンや小型の魚やエビなどしか食べない、大変大人しい性質をしており、海外では一緒にダイビングできるツアーなども実施されてされているほどです。
ウバザメの生態
巨体な割には、動きがのんびりで大人しい優しい性質のウバザメ。しかしながら、時にはホホジロザメ並みのジャンプ力を見せるなど、知れば知るほどウバザメに興味が湧いてきませんか?
そんなウバザメの生態についてまとめました。生態を知ればもっとウバザメに愛着が湧いてくるでしょう。
生態①生息場所
ウバザメはアメリカ大陸、東南アジア、オーストラリア大陸、アフリカ南部、北ヨーロッパなど世界中の温帯および寒帯海域に広く分布し、日本全域で見られます。
人間に発見されるのは、水面間際でプランクトンを捕食している時ですが、海面のプランクトンが減少する冬場は目撃されることはありません。冬場は深海でじっと潜んでいる説が有力視されています。
水族館にはいない
日本の水族館で飼育されているジンベエザメに対し、ウバザメは生きたまま飼育している水族館はありません。
生態的にはジンベエザメと似ているので、飼育できないはずはないのですが、やはりジンベエザメと比較すると知名度が低いことが原因と考えられます。時間、労力、お金までかけて飼育するほど客寄せ効果が見込めないのでしょう。
ウバザメの生体標本は、京急油壺マリンパーク、美ら海水族館などで展示されています。
生態②餌はプランクトン
ウバザメは、水面近くを泳いで餌となる主にプランクトンを食べて生活しています。他には小型の魚やエビなども捕食します。
大きな口で海水ごと餌を取り込みエラを使って濾過する、濾過摂食を行っています。濾過する海水の量は1時間あたり約2,000Lもあり、これだけ大きな体を維持できるのも納得でしょう。
生態③グループ行動
単独で行動しているように思われがちなウバザメですが、遺伝子プロファイルを調べた結果、家族で行動していることが示唆されています。目撃記録によると、ほぼ10匹前後のグループで行動していることが分かっています。
中には、1,000匹以上の群れが報告されている例もあり、これはプランクトンを食べるためにウバザメのグループが集まり大群になったと言われています。
生態④天敵はいない
体の巨大さから言っても、ウバザメには基本的に敵はいないとされています。しかし、同じように巨大生物とされる大きななシャチが襲い掛かることもあるようです。
シャチは水族館などでよく見かけ、利口なイメージがありますが、実際には「海で最強の生物」と呼び声も高い生物です。人食いサメで知られる「ホホジロザメ」も敵わない強さとも言われています。
ウバザメの敵になるかは定かではありませんが、なにせ動きが非常に緩慢なので、シャチに出会った時はただでは済まないような気もします。
ウバザメは保護種指定されている
大きな体のウバザメは、皮や肉、フカヒレなどにも使われ、大きな肝臓からは肝油も取れます。平均寿命は20~100年と推定されていますが、動きが遅いことが災いし、簡単に捕獲できることから乱獲が相次ぎました。
現在ではアメリカやイギリス、ニュージーランド、太平洋全域では絶滅危惧種・保護種に指定されており、漁は禁止されています。しかし、それ以外の発展途上国ではなかなか保護が進んでいないのが現状です。
見怖い巨大ウバザメは穏便で魅力がいっぱい!
見た目が怖くてちょっと気持ち悪いウバザメですが、実はとても穏便で優しい性質を持っています。人を襲うことはなく、人間にとって危険性が低い魅力いっぱいの生物です。
残念ながら生きたウバザメを水族館で見ることはできませんが、興味がある方は生体標本がある水族館に行ってみれば、より身近にウバザメを感じられるでしょう。
海外では、一緒にダイビングできるツアーなども実施されています。どうしてもウバザメに会いたい方は海外旅行でツアーに参加して、ウバザメと一緒に泳いでみてはいかがでしょうか。
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