2019年12月04日公開
2020年06月30日更新
家庭菜園で九条ネギを栽培しよう!初心者でも簡単に育てる方法をご紹介!
京野菜といえば「九条ネギ」が有名です。あまり一般的ではない九条ネギでしたが、最近は柔らかくて美味しいネギとして全国に広まり、家庭菜園で栽培する人も増えてきました。自分で栽培した九条ネギで温かくて美味しい鍋を食べる、そんな楽しみ方はいかがですか。
目次
九条ネギの基本情報
京野菜として知られている「九条ネギ」は、京都で伝統的に栽培されている長ネギです。九条ネギ栽培の歴史は古く、平安時代から京都の「九条」という村で栽培されていたことが「続日本後記」という書物に記されています。
九条村の周辺の土地がネギの栽培に適した土地だったことから、栽培が盛んになり、ここから九条ネギが広まったと言われています。現在は他の地域で栽培されたものも「九条ネギ」として流通しています。
分類はヒガンバナ科(ユリ科)ネギ属、中央アジアが原産地の野菜です。家庭菜園で栽培することも可能で、葉ネギとして鉢やプランターで気軽に栽培する人も増えてきました。
九条ネギの特徴
九条ネギは、一般的な長ネギよりも青い葉の部分が多い、葉ネギに分類されています。白い部分は短めで、全体が柔らかく甘みが強いのが特徴です。気温が下がり霜に当たることで九条ネギの旨味である、甘みと独特のぬめりが強くなります。
伝統的な栽培方法は非常に手間がかかるものですが、家庭菜園で栽培することもできます。苗を植え付ければ比較的栽培しやすく、初心者にも挑戦しやすい野菜です。
九条ネギの見分け方
九条ネギを購入するときは、全体的に張りがあって、折れたり曲がったりしていないものを選びましょう。葉の色が鮮やかな緑色で、全体的に瑞々しく、白い部分が締まっているものが鮮度が高い九条ネギです。
九条ネギの種類
九条ネギは、「九条太ネギ(黒種)」と「九条細ネギ」の大きく2つの系統に分かれていて、それぞれ特徴があります。
「九条太ネギ(黒種)」は、葉の色が濃く白い部分が長めです。太さはありますが、葉先まで柔らかいので鍋や炒め物にしても食べ応えがあります。長さは1メートル近くまで育ちます。
旬の冬には、寒さによって九条ネギの特徴である甘みと、ぬめりが増していきます。
「浅黄系」と呼ばれる「九条細ネギ」はやや細めの種類で、薬味によく使われています。小ネギとして利用する時は、30~40cmほどに育ったところで収穫します。夏から秋にかけてが旬で、成長が早いのが特徴です。
種類①九条太
一般的に「九条ネギ」として有名なのは、この「九条太(くじょうふと)」ネギになります。葉色が濃く、肉厚で葉先まで柔らかいので、鍋物や炒め物に向いています。
寒さに強い品種なので、地域により11〜3月にかけて収穫されています。基本的には冬が旬の九条ネギです。
種類②黒千本
九条ネギの中でも、病害虫や暑さに強いため夏から秋を中心にして、1年を通して栽培されています。細く立ち上がった葉は緑が濃くツヤがあります。
種類③浅黄系九条
葉の色が鮮やかな緑色で、根元から細かく分かれているのが特徴の九条ネギです。暑さに強いので夏によく育ちますが、1年を通して栽培されています。薬味などによく使われている九条ネギです。
九条ネギの育て方【栽培環境】
九条ネギが好む栽培環境は、日当たりと風通し、水はけがよく暑すぎないことです。土は酸性にならないように植え付け前に苦土石灰で中和しておくことがポイントです。
育て方①置き場所
九条ネギは、日当たりと、風通しのよい場所を好みます。加湿に弱いので栽培には水はけが良い場所を選びましょう。生育に適した20℃前後の温度を保てる場所がベストです。
育て方②土
九条ネギは酸性土壌を嫌いますので、必ず堆肥を入れる2週間前に、苦土石灰を混ぜ込んで土壌を中和しておきます。pH6.0〜6.5になるようにします。その後、植え付けの3週間前に堆肥を入れてよく耕します。
鉢やプランターで栽培する場合は、市販の腐葉土か、野菜用の培養土を使うとよいでしょう。
育て方③温度
九条ネギの栽培に適した温度は20℃前後です。暑さにはやや弱いですが、寒さには強いので16〜20℃くらいでも問題なく育ちます。
九条ネギの育て方【栽培管理】
九条ネギの栽培で気をつけることは、水やり、肥料、病害虫です。水はけと風通しをよくしておくのが基本ですが、病気や害虫を発見したら早めに処置することが大切です。
育て方④水やり
九条ネギは、多湿に弱いため乾燥気味に栽培します。水を与えすぎると苗が腐ってしまうことがあります。地植えで栽培する場合は、基本的に水やりの必要はありません。
鉢植えやプランター栽培の時は、土が乾いてきたら朝と夕の涼しい時間帯に2回に分けて水を与えます。昼と夜は、水やりをしないのポイントです。
ただし、種を蒔いて発芽するまでの間と、苗の植え付けた後1週間くらいの間は、土が乾かないようにこまめな水やりが必要です。
育て方⑤肥料
植え付け後は、1週間か10日に1回液体肥料を与えるか、10~2週間に1回化成肥料を施す程度でよいでしょう。地植え栽培では、土寄せに合わせて1か月ごとに追肥を行います。
育て方⑥病害虫
九条ネギ栽培では、ネギコガ、アブラムシ、アザミウマ、ネキリムシなどの害虫が発生したり、べと病、さび病にかかることがあります。害虫は発見したら早めに薬剤を散布して駆除します。
べと病、さび病は、発生しやすい時期に合わせて薬剤で防除しておくことをオススメします。九条ネギの葉は、薬剤が付着しにいくので、薬剤を散布する時は必ず展着剤を加えて使用しましょう。
九条ネギの育て方【種まき・植え替え】
九条ネギを植える方法はいくつかあります。直接畑に種を巻く方法、購入した苗または自分で育てた苗を畑に植える方法、鉢やプランターに種を蒔いて栽培する方法です。
育て方⑦種まき
九条ネギが発芽する気温は15~25℃です。鉢やプランターで栽培するのであれば、気温が上がる3月下旬〜4月頃に種を蒔いて育てます。
地植えで種から栽培する場合は少し手間がかかります。九条ネギの種を植え付けできるまで大きくするには60日以上かかるので、初めは購入した苗を植えつける栽培方法がおすすめです。
鉢植え
九条ネギを鉢植えで栽培する場合は、なるべく大きめの鉢を選びましょう。九条ネギは大きく育つので、深さと幅が15cm以上の鉢が必要です。
鉢に入れた土に1cm間隔で穴を空けて種を2〜3粒蒔きます。軽く土をかけたらたっぷりと水を与えて、新聞紙などで覆って乾燥を防ぎます。
日向に置き、発芽の適温の15~25℃で管理すれば7〜10日で発芽します。発芽したら株と株の間が2〜3cmになるように間引きます。
葉が4、5枚になったところで、さらに間引いて苗が2、3本になるようにします。出来るだけ大きく、元気に育っている苗を残すようにしてください。
プランター植え
鉢植えで物足りないと思ったら、プランターでの栽培をオススメします。プランターもやはり深さが15cm以上ある大きめの物を選びましょう。
プランターに植える方法は、鉢植えの場合と同様です。土の表面をならしたら、1cmほどの深さの溝を作って、5mm〜1cm間隔で種を筋蒔きします。薄く土で覆ったらたっぷりと水やりをして日向に置きます。
乾かさないように新聞紙などで覆ってもよいでしょう。7〜10日で発芽したら鉢植えの場合と同じように間引きしていきます。
地植え
九条ネギの苗を地植えで栽培する場合は、種まき床を作ることから始めます。種まきの時期は3月下旬〜4月下旬がよいでしょう。九条ネギが発芽する気温15~25℃が目安です。
用意しておいた種まき床の土を湿らせ、15cmの幅の溝に筋蒔きします。5mmの厚さに覆土をして手で軽く押さえ、たっぷりと水やりします。
発芽するまでの間、乾燥しないように稲ワラや寒冷紗(かんれいしゃ)などで覆っておけば7〜10日ほどで発芽します。
発芽後草丈が6~7cmになったら、1.5cm間隔で1本になるように間引きします。草丈10cmまで育ったら、さらに3cm間隔で1本にします。
育て方⑧植え替え
6〜7月頃種まき床の苗が、草丈40〜50cmになったら植え替え(植え付け)をします。苗の根を傷めないように掘り起こし、1本ずつに分けます。
苗はそのまま植える方法のほかに、15〜20cmに切り詰めて植える方法があります。また、一度干した「干しネギ苗」で育てる方が、生育がよく収穫量も増えるようです。
畝の中央に深さ20〜30cmほどの溝を掘り、溝に堆肥と肥料を入れて土を被せます。株間を20cm空けながら1ヶ所に4〜6本植え付けます。ネギは寄せ植えした方が生育が良くなると言われています。
根が隠れ、株が倒れないくらいに覆土し、根元にはワラを敷いておきます。植え付け後の水やりは必要ありません。低温であればマルチを敷いたり、ビニールトンネルをするとよいでしょう。
九条ネギの育て方【手入れ】
よい九条ネギを栽培するためには、土寄せや追肥などの手入れが必要です。ネギは雑草に弱いため、こまめに除草するようにしましょう。
また、春に「とう立ち(花芽がついた茎が伸びた状態)」してできたネギの花「ネギぼうず」は、早めに摘み取りましょう。
ネギぼうずがつくと生長が止まってしまいます。花が咲く前のネギぼうずは、天ぷらにすると美味しく食べることができます。
育て方⑨土寄せ
九条ネギのように、葉ネギの場合は土寄せは必要ありませんが、白い部分を作る場合は土寄せを行います。
植え付けから1ヶ月後、苗と反対側の畝の上に追肥します。肥料と土を混ぜながら九条ネギの分けつ部(葉の分岐点)の下まで土寄せします。
長ネギの分けつ部に土が入ると、生育が悪くなったり傷んでしまうことがあるので、土寄せは分けつ部の4〜5cm下までにとどめておきます。
その後、計4回追肥と土寄せを生長に合わせて行います。収穫の30〜40日前に行う4回目の土寄せの際は追肥はしません。
土寄せ方法を動画で紹介
九条ネギの地植えで行う「土寄せ」などくわしい手入れの方法を動画で確認してみましょう。こまめなお手入れがよい九条ネギの収穫に繋がる一歩です。
育て方⑩収穫
収穫の目安は、丈が60~70cmになったころです。軟白部分を折らないように、鍬を深く入れ、根元まで掘り起こします。無理に引き抜こうとせず、土を崩してから根元を持って抜き取るようにします。
九条ネギのような葉ネギは、50~60日目くらいが収穫時期ですが、実際はある程度育てば、いつでも収穫できます。生え際から5cm位の部分を切って収穫し、新たな芽から継続的に収穫するという方法もあります。
九条ネギの保存方法
収穫した九条ネギは、乾燥しないように全体を新聞紙で包んで冷暗所で保存します。冷蔵庫で保存する場合は新聞紙に包んだあとビニール袋に入れます。できれば立てた状態にし、泥つきのものは土を落とさずに保存します。
すぐに使わない時は、使いやすいサイズに切って密封できる容器や袋に入れて冷凍庫で保存しておきましょう。水気をしっかり切るのがポイントです。
九条ネギの食べ方
九条ネギは一年中出回っていますが、本来は冬が旬の野菜です。葉先から白い部分まで美味しく食べられるので、薬味としてだけではなく、鍋料理やすき焼き、ぬたのような和え物にもよく使われます。
和食、洋食、中華のどんな料理にも合うので、様々な料理に活用することができます。ここで、九条ネギをたっぷり使ったお好み焼きと、パスタの作り方をご紹介します。
食べ方①九条ネギでお好み焼き
材料 (26cmのフライパンで1枚分)
- お好み焼き粉 50g
- 水 75cc
- 九条ネギ 100g
- 天かす 30g
- 卵 2個
- 紅生姜 15g
- 豚肉 50g
- 油 適量
- お好みソース(トンカツソースでも可) 適量
- 青のり 適量
- マヨネーズ(お好みで) 適量
- 鰹節 適量
作り方
- お好み焼き粉は分量の水で溶いておきます。
- 九条ネギは5mmの小口切りにし、天かすと混ぜておきます。
- (1)に(2)を入れてザックリ混ぜ、溶いた卵と紅生姜を入れさらに混ぜます。
- フライパンに油を引き、(4)を入れて広げ、豚肉をのせます。
- 蓋をして、中火で程よく焼いたら裏返します。
- さらに弱火で7~8分蒸し焼きにして火を止めます。
- そのままフライパンで蒸らして中まで火を通します。
- お皿に盛って、お好みソースとマヨネーズ、鰹節、青のりなどをかけて出来上がりです。
食べ方②九条ネギパスタ
材料 (2人分)
- スパゲッティ 200g
- 合挽きミンチ 200g
- 九条ネギ 5本
- しめじ 1袋
- バター 大さじ2
調味料
- 醤油 大さじ2
- 顆粒だし 小さじ1
- おろしにんにく 適量
- 青じそ お好み
作り方
- 九条ネギは斜め切り、しめじはほぐしておきます。
- パスタを茹で始めます。
- フライパンでひき肉を炒め、しめじと九条ネギを加えてさらに炒めます。
- 茹で上がったパスタを(3)に加えて調味料で味付けをします。
- 火を止めて仕上げにバターを入れて混ぜます。
- 皿に盛り付けて細切りにした青じそをのせたら完成です。
九条ネギは家庭でも栽培できる
家庭菜園は、自分で栽培した野菜を収穫して食べることができるのが最大の魅力です。九条ネギの栽培は、コツを掴めば初心者でもそれほど難しくありません。
九条ネギはどんな食材にも合う万能な食材です。冬の暖かいお鍋や、ネギのたくさん入ったお好み焼き、中華風の炒め物はもちろん、薬味として香りを楽しむのもよいでしょう。
美味しい九条ネギ料理を食べられるなら、寒い冬も楽しみになりそうです。料理のレパートリーが広がる九条ネギ栽培にチャレンジしてみましょう。
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